目次
経緯
現在,給電方式の異なるAPC製と三菱製のUPSを使用している。
APC製はラインインタラクティブ方式でAVR機能により電圧が安定して供給されるが,停電時のバックアップ切替タイムラグが数msある。これは交流波形のほんの一部が乱れる程度で通常のパソコン使用では実用上無視できる値だ。
三菱製は常時インバーター給電方式で高調波等の歪電圧波形をクリーンな正弦波で給電し,常時インバーター給電なので停電時は無瞬断切替される。が,常時冷却ファンが回っているので静かな部屋だと回転音が気になる。
今回,三菱製UPSの「FW-S10C-1.0K」のバッテリー劣化により交換を行った。バッテリーはパナソニック製のUP-VW1245J1を3個使用している。純正は3個接続済で3万円超で,納期も掛かるので代替品を探してみた。「KUNG LONG」というブランドの「LG7-12」がサイズ・容量共に良さそうだ。1個のサイズはほぼ同じだが,容量が純正から少なくなる。価格は1個3千円台なので純正品の三分の一以下だ。
(バッテリー銘板記載12V 7.8Ah → 12V 7Ah) 三菱の設計図面では「12V 7Ah 3個 18セル 36V」の記載があり問題なさそうだ。
UPS内に納めるには3個のバッテリーを接続する必要があるので,不要になった純正品の接続部品を流用してスペーサー加工は必要だったが,問題なくUPS筐体内に収納出来た。メーカー保障は得られないので,あくまで自己責任で実施。
バッテリーの新旧比較(データーシートより)
旧 UP-VW1245J1 | 新 LG7-12 | |
L | 151㎜ | 151㎜ |
W | 64.5㎜ | 65㎜ |
H | 100㎜ | 94㎜ |
重量 | 2.55㎏ | 2.45㎏ |
容量 | 12V 7.8Ah | 12V 7Ah |
端子間隔 | 48㎜ | - |
旧バッテリー取り外し
バッテリーを取り出した状態
ホットスワップ方式なので,バッテリーカバー開放時にバイパス給電に切り替わり,商用電源を供給しながらバッテリー交換可能。
取り出したバッテリー
3個のバッテリーが接続されている。仮に左のバッテリーから№1,№2,№3と番号を付ける。純正品はこの形態で購入する。
上下2枚のブリスターパックで3個のバッテリーを包み込んで,黒い幅広テープで固定されている。端子部は2個のスペーサーで保護している。
分離したバッテリー
テープを剥がして,接続部品を取り外したバッテリー3個
バッテリー接続部品
テープを外して,3個のバッテリーをばらした。
左から
・ブリスターパック 上下用 2枚
・端子保護スペーサー 上:№3用 下:№2用
・接続リード線 コネクター付き 赤黒1本
・接続リード線 黄1本
・接続リード線 青1本
・その他 黒色のテープは廃棄
リード線のバッテリー接続部は平型端子(タイプ:F2)が付いている。
(バッテリー側端子:ファストン250穴あき 幅6.35) 言い方が異なるが同じ規格
新バッテリー
「LG7-12」
ファストン端子(メス)が付いていた。
新バッテリー銘板
LONG製 LG7-12 (12V 7Ah)
データシート
接続配列
バッテリーを縦にして固定する。
№1と№2は端子を上下で向かい合わせてスペーサーを№2のバッテリーに固定。№3のバッテリーは端子を外側上にして固定。
スペーサーの切り込みが端子と合わないことが判明。
スペーサー加工
端子間の幅が違ってる!(№3用)
+-の端子間が少し狭いようでスペーサーが端子に当たっている。両端子とも3mmほど内側にずれている。データシートには寸法記載が無いので,分からなかった。
端子間の幅が違ってる!(№2用)
+-とも3mmほど内側にずれている。
スペーサー加工(№3用)
ニッパで当たっている部分をカット
スペーサー加工(№2用)
ニッパで当たっている部分をカット
新バッテリー接続固定
配線接続
№1 +端子:赤線,-端子:黄線
№2 +端子:青線,-端子:黒線
№3 +端子:黄線,-端子:青線
固定テープ
バッテリーの固定はスコッチの透明テープ(梱包用)を使用し,純正品と同様に№1と№3のバッテリー周りを固定。
3M スコッチ ガムテープ 梱包テープ 中軽量用 48mm×50m 2巻パック カッター付 313 2PN接続・固定 完成
無事UPSに納まって,UPSパネルの「BATTERY」ランプは3つ点灯したので,ほぼ満充電されているようだ。セルフテストも正常終了し問題なく稼働した。
FREQSHIPの画面
UPS管理ソフト 「FREQSHIP」
交換を終えて
今回,純正品のバッテリーを使わずに約三分の一の費用で安価に仕上げたが,信頼性はこれから検証することになる。他のUPSのバッテリーについても今回の検証結果次第だが,代替品があれば検討したい。