目次
はじめに
APCのSmart UPS(SMT1500J)に「Network Management Card2」(AP9630J)を取り付けて見た。
「Network Management Card2」(AP9630J)は中古で1500円程で入手した。がカード1枚のみで付属品は何も付いていない。中古なのでipアドレス等は設定されているはずだがわからない。
とりあえずUPSに取り付けてみた。LAN接続はされているようでアクセスランプが点滅する。ステータスランブも正常に点灯している。
DHCPサーバーのアドレスリースやarp -aコマンドで確認したがそれらしい機器は見当たらない。たぶんネットワークアドレスが異なっているようだ。「Device IP Configuration Wizard」なるツールで検索できるが,検索範囲を広げればヒットすると思うがIPアドレス設定しかできないので使えない。MACアドレスが解ればIPアドレスを調べるPowerShellコマンドがある。
Get-NetNeighbor -LinkLayerAddress “MACアドレス”
PS C:\Users\xxxxxx> Get-NetNeighbor -LinkLayerAddress "ab-cd-ef-00-11-22"
ifIndex IPAddress LinkLayerAddress State PolicyStore
------- --------- ---------------- ----- -----------
15 10.20.30.40 ab-cd-ef-00-11-22 Stale ActiveStore
マニュアルを見たらシリアルポート接続で設定変更(初期化)が可能との記載があった。
シリアルポート接続ケーブル(940-0299)は特殊なタイプで入手困難なようでたとえ入手できても高額(約1万円)なので自作することにした。カードを初期化(ログオンアカウントやパスワードを初期化)するのであればシリアルポート接続でないと行えない。
以下は取付から初期化・設定変更までの手順を記載
カード取付
「Network Management Card2」(AP9630J)
封筒で送られてきた関係でカードからパネルが外されている。
UPS裏面のスロットカバーの左右のネジを緩めて取外し。
スロットカバーを外してUPSを停止してからカードを取付る。
カバーを外した際のネジ2個をカード取付に再利用する。
取付完了
UPSを起動後にLANケーブルを接続。
LAN端子左のリンクRX/TX LEDはオレンジ色で点灯・点滅。右のステータスLEDは緑色の点灯で正常状態。
シリアルケーブル(940-0299)作成
シリアルケーブルのサーバー側コネクターは,「D-Sub9ピン メス」
UPS側は「ステレオマイクロジャック2.5㎜」となっている。
「D-Sub9ピン メス」はケーブル付で準備するほうが無難。
「ステレオマイクロジャック2.5㎜」はパーツのジャックを個別に準備してケーブルをはんだ付けするか又はケーブル付で準備して「D-Sub9ピン メス」のケーブルとケーブル間接続する方法があるが,「ステレオマイクロジャック2.5㎜」のはんだ付けは細かい作業になりそうなので後者のケーブル間接続で行う。
「D-Sub9ピン メス」と「ステレオマイクロジャック2.5㎜」それぞれのケーブルを半分に切断する。
ケーブルの被膜を剥き導線を出す。
事前にテスターで対象の線を特定しておく。
今回使用したケーブルの線色
D-sub側 1茶 2赤 3橙 4黄 5緑 6青 7紫 8灰 9白
マイロクジャック側 ①白 ②赤 ③裸GND
接続線色 2赤-①白 3橙-②赤 5緑-③裸GND
配線接続は圧着スリーブを使用すれば良いのだがサイズが合わないのではんだ付けで行う。事前に熱収縮チューブ2㎜を配線に,外側に7 mmと5mmをそれぞれ通しておく。
はんだ付け後に熱収縮チューブをドライヤーで加熱して密着させる。
細い配線は2mm用
「ステレオマイクロジャック2.5㎜」側ケーブルは熱収縮チューブ5㎜用をドライヤーで加熱密着
「D-Sub9ピン メス」側ケーブルは熱収縮チューブ7㎜をドライヤーで加熱密着させて完成。
カード初期化
上記で作成したケーブルをUPSの「Network Management Card2」のシリアル設定ポートとパソコン側をCOMポートに接続する。
端末プログラム(HyperTerminal、Tera Term、PuTTY など)を起動する。
ポートの設定はデフォルト(9600bps、データビット:8、パリティ:なし ストップビット:1、フロー制御 なし)
「ENTER」キーを数回押して接続する。画面にUSER NAME:プロンプトが表示される。
「Network Management Card2」の「Reset」ポタンを先の細い爪楊枝等で押す。消灯後しばらくしてステータスLEDがオレンジと緑の交互点滅するので再度「Reset」押す。
パソコン画面は一旦切断されるので「ENTER」キーを数回押して再接続する。
ここから30秒間、ユーザ名、パスワードが、それぞれ一時的にapcに変更されるのでログオンして設定画面に入る。
設定可能な全パラメーターをデフォルト値に戻すコマンド
「resetToDef -p all」を入力する。
ipを残す時はallに代えてkeepip
「reboot」コマンド入力後に上記リセットが有効となる。
IPアドレスはDHCPから取得されたので再接続後に「tcpip」コマンドでIPアドレスを確認する。
確認したIPアドレスをブラウザで指定してNetwork Management Card2のweb画面からアクセスして各設定を行う。
考察
一応設定も終わりLAN経由で接続できるようになった。このカードの利点はUPSにCOM接続しているサーバーの稼働に関係なくLAN経由で直接UPSの管理ができることだ。従来はUPS管理ソフトをサーバーにインストールしてサーバー経由からUPSにアクセスしていたがUI画面が設定の条件で表示されないことがあったりして,その都度調査に時間が掛かっていた。
このカードを使用した管理ソフトの「PowerChute Network Shutdown」があるが,LANでUPSと接続しているため,経路途中に別電源のHUBが存在していると停電時に接続が切れるので,UPSから電源供給するHUBを設置しないと停電時のシャットダウンが上手くいかない。
ケーブルを切断したのでもう一方のほうもシリアルケーブルを作成してUPS2台に接続したままとした。
後はファームウェアのアップデートを任意で実施
【要画像】Network Management Card 2 (AP9630J, AP9631J) ファームウェアアップグレード方法 | APC 日本
APC製品 ファームウェアアップグレードモジュール | APC 日本