目次
はじめに
クライアントパソコンで使用しているSAS アレイコントローラカード「PRAID CP400i」「PRAID EP400i」の基本的な設定手順についてメモる。
マニュアルには詳細手順が記載されているが,運用中で問題が発生しなければ,まず設定変更することがないのでマニュアルを見ることが無い。いざ設定変更が必要となった際に慌ててマニュアルを紐解くことになるが,見落としや勘違いで手戻りが生じたり,最悪データー破損や消失といった事態に陥ることがないように,使うであろう必要な手順をマニュアルから抜粋して記載する。
前提条件
以下の手順はPC起動時のBIOS画面である「Ctrl-R Utililty」で設定する前提で記載。
Windows起動後の「ServerView RAID Manager」からの設定については,記載していない。
サーバー機はほぼ自動化されているので,TX100S3のクライアント機でOSがWindows10でRAIDソフトをインストールしていなく,かつRAID1で停止しての交換の条件での手順をメインで記載する。
・RAIDカード「PRAID CP400i」
・「Ctrl-R Utililty」での設定
・RAID1(ドライブ2台中1台故障)
・活性保守非対応(PC電源停止して交換)
Ctrl-R Utililty画面を開く
パソコン電源「ON」時のBIOSシーケンスで下記画面が表示されたらキー入力「Ctrl」+「R」キーを連打すると「Ctrl-R Utililty」画面が表示される。
初期画面「VD Mgmt 画面」
「Ctrl-R Utililty」画面は画面下のキー操作ガイドのキー(例:F2 やCtrl-N等)とカーソルキー(上下左右の矢印キー)と「Enter」で操作する。
RAID新規・追加構成設定
一番最初に行うRAID構成設定についてはマニュアルではストレージ構成の作成として記載されている。物理ドライブ(Physical Drive)を1台~数台使用して仮想ドライブ(Virtual Drive)を作成する。
VD Mgmt 画面
新規RAID構成の設定
VD Mgmt 画面で、RAIDコントローラを選択し「F2」キーを押す。
Create New VD画面が表示
以降はRAID Level設定と同じ手順
既存RAID構成にドライブ追加
VD Mgmt 画面で、ドライブグループを選択し「F2」キーを押す。
Add VD in Drive Group画面が表示
RAID Level設定
「RAID Level」を選択
物理ドライブを「Drives」から選択(新規・追加のドライブ)
必要に応じて「Advanced」を選択する。デフォルトで問題ない場合は「OK」を選択。
ダイアログを確認し、[OK]を押す
ドライブ故障時の交換
パソコン停止して故障ドライブ交換
活性保守非対応な冗長性があるロジカルドライブでの手順を前提として記載
故障又は故障予測(SMARTエラー)が検出されたドライブのステータスはVD Mgmt 画面で「Missing」,PD Mgmt 画面では「Failed」といった「Online」以外の状態表示となる。
専用ホットスペアなし
ホットスペアドライブが無い構成の場合は,PC停止後に故障ドライブを交換してPC起動で「Ctrl-R Utililty」画面に入る。
SASアレイコントローラカードが記憶している以前のRAID構成以外のドライブが検出されたので画面メニュー右側に「Foreign View」タブが表示されると共にPD Mgmt 画面の交換後のドライブステータスが「Foreign」となる。
交換後ドライブの外部構成クリア
「Ctrl」+「N」キーを4回押下してForeign Viewメニューに移動して,
RAIDコントローラを選択し「F2」キーを押す。
ダイアログメニューの「Foreign Config」▷「Clear」 を選択し「Enter」キーを押す。
確認画面が表示されるので「OK」を選択し「Enter」キーを押す。
他のRAIDコントローラーで使用していた複数ドライブを同じ構成でこのPCで使用したい場合は「Import」なのだが,今回は故障ドライブを新品又は中古ドライブに交換したので,「Clear」を選択する。一度に複数ドライブを取り付けた場合は,Foreign Viewメニューが消えるまで(取り付けた台数分)この手順を繰り返す。
「Foreign Config」Clear が完了するとVD Mgmt 画面に切り替わって画面下に「Unconf igured Drives」の項目下に交換後のドライブがReadyとして表示される。
PD Mgmt 画面には交換後のドライブのStateがUG(利用可能)となる。
取付ドライブのリビルド
取り付けたドライブが使用可能状態「Ready」となっているので,既存RAID構成に専用ホットスペアとして登録することで,リビルドが開始される。
ホットスペア有の場合は自動リビルドされるのだが,今回は手動で専用ホットスペア設定を行う。
専用ホットスペア登録
VD Mgmt 画面で、ドライブグループを選択し「F2」キーを押す。
ダイアログ画面のManage Ded. HS (Manage Dedicated Hotspare)を選択して「Enter」キーを押す。
「Dedicated Hotspare for Drive Group 0」ダイアログが表示される。
ホットスペア登録可能ドライブが表示されるので,選択し「Enter」キーを押すと左側に選択マークのXが入る。([ ]→[X])
「OK」選択でホットスペア登録(RAID構成ドライブ登録)されて,リビルド処理が開始する。
リビルド確認
交換したドライブのリビルド開始を確認するにはVD Mgmt 画面で、該当のDrivesを展開して交換ドライブを表示させる。ステータスが「Rebuild」と表示されていればok。
さらに詳細な項目確認は,該当ドライブを選択すると画面右側に現在の進行状況(Progress)が%表示される。リビルド終了後は運用ドライブとなる。
リビルドはバックグラウンドで動作するので完了を待たずに,「Esc」キー押下して「Ctrl-R Utililty」画面を終了して「Ctrl + Alt + Delete」キー押下後,OSを立ち上げる。
専用ホットスペアあり
専用ホットスペアありの場合は,自動でリビルドされる。
PC停止後に故障ドライブを交換して,新たなホットスペアを登録する。
手順は専用ホットスペアなしの手順に準じる。
サーバー運用中の故障ドライブ交換
活性保守対応サーバーの故障ドライブ交換は,サーバー停止しなくても可能なので「Ctrl-R Utililty」の設定不要で参考記載とする。
交換する故障ドライブを間違わなければ,ほぼ自動で行われるので設定ミス等は発生しない。
現在運用中のTX1330M2はこのRAID構成となっている。
専用ホットスペアあり
故障又は故障予測(SMARTエラー)が検出されたドライブがあると,ホットスペアに自動的にリビルドが開始される。リビルド中でも故障ドライブは交換できるようだが,リビルド完了を待ってから,故障ドライブを交換する。
リビルドが完了していれば,交換したドライブに対して自動でコピーバックが開始され,コピーバックの完了後、自動でホットスペアドライブが再割り当てされる。
この手順は幸いなことにまだ一度も行っていない。
おわりに
ドライブ障害発生時にしか対応しないので,手順を忘れたころに障害が発生してその都度マニュアルを確認していたが,よく使う必要な手順を抜粋したことで少しは慌てなくてもよくなった。またマニュアルを自ら作成したことで頭の片隅にも記憶として残った。
まとめ
活性保守非対応(PC停止必要)な交換手順の概要
①故障ドライブ特定
②PC停止
③故障ドライブ交換
④PC起動
⑤BIOSの「Ctrl-R Utililty」画面表示
⑥「Foreign Config」▷「Clear」
⑦ホットスペア登録(Manage Ded. HS)
⑧リビルド開始確認