目次
はじめに
現状のサーバー機 TX100S3は2013/10から稼働開始してはや10年が経とうとしている。24時間365日動かしているがディスクの故障以外のトラブルは無かった。次期サーバーも富士通のPRIMERGYにしようと思う。いろいろ調べた結果,PRIMERGY TX1330 M2の中古がよさそうだ。この機種は発売後1年程で後継機が出て来たので,中古市場にOS無しで10K台,OS有りでも50~60Kで出回っているものが多くコスパが良いみたい。ただ騒音が少し大きくなるようだ。対策しないと(-_-;)汗 (25dB → 約34dB)
で,中古1台を手に入れた。これも現状機同様のエントリーサーバーだがRAID機能が強化されているので,現状機の問題点であるハードディスクのアクセス速度が少し改善されることに期待したい。
現状サーバー
TX100S3 オンボードソフトウェア RAID SATA 3Gbps
次期サーバー
TX1330 M2 オンボードソフトウェア RAID SATA 6Gbps
SAS アレイコントローラカード SAS 12Gbps / SATA 6Gbps
次期中古サーバー機仕様
モデル TX1330M2
CPU Xeon E3-1270 v5 3.60GHz
メモリー DDR4-2133P 24GB (8G×2,4G×2)
アレイカード EP400i「PRAID EP400i(PY-SR3C41,PYBSR3C41)」
ディスク Seagate 600GB 15K SAS 12G HDD ST600MP0005 6台 + 2台
OS Windows Server 2016 Datacenter
仕様検討・カスタマイズ
ハードディスク
RAID1 SATA5400rpm → RAID50 SAS15000rpm
ディスク(Seagate 600GB 15K SAS 12G)は6台付いているが中古で故障が心配なので,これも中古で2台追加購入。
RAID50に設定しての使用を想定。3台でRAID5を構成+追加1台をホットスペア設定してそれを2組で8台のHDDを使用してのRAID50とする。 (3台+1台)×2
たぶん今までのWDのHDDと比較して回転数が格段に速くなっており(5400rpm→15000rpm)故障しやすい気がするので,保険をかけてホットスペアを準備。カタログ上の保証期間は5年なのだがiRMCの稼働時間は5年7ヵ月を表示しているので既に過ぎている。中古市場に出回るものは大概は5年以上経過している。1台が故障するとバタバタと連鎖的に他のディスクも故障しそう。(-_-;)汗
まあ格安の中古なのでそこは割り切って使用するしかない。数年持ってくれればと願う。
中古市場で追加のジャンク品を漁ってみるか。
「SATA 1GB ST1000NX0423」搭載のものも手に入った。
メモリー
DDR3-1600 32GB → DDR4-2133 24GB
メモリーは現状機は32GBだが,使用率等を調査するとピーク時でも16GB位までしかいかないので24GBでとりあえず大丈夫そう。
バス速度も速くなっているのでしばらくはとりあえず様子見とする。
搭載できるメモリーの最大規格 DDR4-2133 16GB × 4枚 = 64GB
購入時の参考 動作確認メモリ ECC
16GB SK hynix 16GB 2Rx8 PC4-2133P-EE0-11 HMA82GU7MFR8N-TF T0 AA 1651
CPU
Xeon E3-1270 V2 3.50GHz → XEON E3-1270 V5 3.6GHz
CPUは現状機より若干速度が上がっている。RAID50を計画しているのでパリティ計算でCPUを食うのかな。当初はXeon E3-1230 V5 3.40GHzが搭載されていたが,グレードが上位の中古CPUに交換した。
アレイコントローラ
ディスクアクセスに直接関係するので,速度計測を行ってみる。
標準で付いていたのがCP400i「PRAID CP400i(PY-SR3FA,PYBSR3FA)」だがグレードが上のEP400i「PRAID EP400i(PY-SR3C41,PYBSR3C41)」も中古が手に入ったので比較してみる。さらにキャッシュを活かしてみたいが,バッテリーバックアップ(フラッシュバックアップ)が無いとデータロスの可能性があり使用できないかな。
富士通HDDマウンター
このクラスのサーバーになると,前面からハードディスクの取替ができる仕様となっている。
ホットスワップ機能が搭載されているので,サーバー稼働中でも取替可能となっている。
専用のマウンターにHDDを取り付けてサーバー前面から挿入する。
3.5インチ用と2.5インチ用が用意されている。どちらを使用するかはサーバー本体側の仕様により異なるが,3.5インチ用に2.5インチのHDDが取付できる。
3.5インチ 用 / A3C40152045
2.5インチ 用 / A3C40179841
HDDアクセス速度測定
ハードディスクのアクセス速度が現状からどの程度変化するのか測定した。
測定ツールは「ATTO Disk Benchmark」を使用
現状機の速度
TX100S3
CPU Xeon E3-1270 V2 3.50GHz
メモリー DDR3 1600MHz 32GB
オンボードソフトウェアRAID1 SATA 3Gbps
ディスク WD Red Plus 5400rpm 4TB 2台
次期 サーバー機
RAID5 + CP400i + SAS
TX1330M2
Intel(R) Xeon(R) CPU E3-1270 v5 @ 3.60GHz
アレイカード CP400i
ディスク Seagate 600GB 15K SAS 12G HDD ST600MP0005 3台
RAID設定 RAID5 Strip Size : 256 KB
Writeの値が256KBから急に早くなっている。1MBがピークだが,極端だな。
書き込みはRAID1と比較して部分的には遅くなっている。
RAID5はバリティデータ作成があるので遅くなるのだろうか。
RAID50 + CP400i + SAS
上記を RAID50 Strip Size : 64 KBに変更
(設定ツールのデフォルト提案値)
HDD ×3台 ×2Span 計6台
書き込みは一部で遅くなっている。
しかし読み込みは明らかに早くなった。
ストライプサイズによっても違うのかも。
ストライプサイズについて
ある文献にはストライプ単位のサイズをシステム入出力要求の平均サイズよりやや大きいサイズに設定すると、 ディスク・アレイのパフォーマンスを最大化できる。システム入出力要求が大きい場合は、 ストライプ単位のサイズとして 256 KB または 512KB を使用とあるがバランス的には64KBが良いようだ。一部メーカーのRAIDは64KB固定となっているように。
ストライプ サイズが小さいとシーケンシャル アクセスに有利で、ストライプ サイズが大きいとランダム アクセスに有利
SATA RAID ストライピング編 (runser.jp)
RAID50+EP400i + SAS
さらに上記のアレイコントローラを変更してみた。
PRAID CP400i → PRAID EP400i
仕様変更箇所
コントローラチップ LSISAS3008 → LSISAS3108
RAIDキャッシュメモリ なし → 1GB 1133MHz(DDR3 SDRAM)
一部で書込みが早くなった。キャッシュメモリは無効にしているので単純にコントローラチップの性能か。
上記のiRMC S4の論理ドライブ画面
上記のRAID50設定値
スロット3と7にはホットスペアディスクを挿入しており非運用状態なので表示されない。運用ディスクにエラーが発生するとホットスペアが運用状態となり表示される。
RAID50 + EP400i + SATA
ディスクをSATAに変更で測定
CPU Intel(R) Xeon(R) CPU E3-1270 v5 @ 3.60GHz
メモリー DDR4-2133P 24GB
アレイカード EP400i
Strip Size : 256KB (設定ツールのデフォルト提案値)
ディスク SATA 1GB ST1000NX0423 ×3台 ×2Span 計6台 7,200RPM
SATA接続だが読み込みが5GB/s台と劇的に早い
RAID50 + EP400i + SAS
上記のディスクをSASに変更
Strip Size : 256KB (設定ツールのデフォルト提案値)
ディスク Seagate 600GB 15K SAS 12G HDD ST600MP0005 6台
SASの特徴なのか書込みが早いが読み込みは・・・
読み込みは512KBから急激に遅くなっている。???
キャッシュ有効
各キャッシュの設定
リードモード:No ReadAhead or Adaptive or ReadAhead
(ロジカルドライブのリードポリシーで読み取りキャッシュのデータ予見)
ストライプサイズが64Kの時はNo ReadAheadで先読み不可。
ストライプサイズが256Kの時はReadAheadで先読み可能。SATAはAdaptive(自動)
ライトモード:Write Through or Write Back or Always Write Back
(書き込みキャッシュの使用有無でバッテリー接続時にWrite Backでキャッシュ有効)
キャッシュモード:Direct or Cached (ロジカルドライブへの読み取りキャッシュ)
ディスクキャッシュモード:Disabled or Enabled (物理ドライブの書き込みキャッシュ)
SATAアレイコントローラー
SATAアレイコントローラー + ディスク
ロジカルドライブへの読み取りキャッシュ有効
物理ドライブの書き込みキャッシュ有効
ディスクキャッシュも有効にしたが・・・・
SATAディスクはキャッシュ有効でも効果なし。
ボトルネックは別にあるようだ。
書き込みキャッシュはデータロストの可能性があるため実運用では「Disabled」
SASアレイコントローラー
ロジカルドライブへの読み取りキャッシュ有効
キャッシュの効果覿面!
読み込みがあきらかに速くなつた。
SASはアレイコントローラーキャッシュを有効にすべきなのか。
平均速度 Write:375MB/s Read:3.67GB/s
SASアレイコントローラー + ディスク
ロジカルドライブへの読み取りキャッシュ有効
物理ドライブの書き込みキャッシュ有効
ディスクキャッシュも有効にしたが,アレイカードキャッシュのみと大きく変わらない。
小さいサイズの書き込みが早くなった。
SASディスクの性能を最大限引き出すにはアレイカードキャッシュを有効にする必要があるようだ。
書き込みキャッシュはデータロストの可能性があるため実運用では「Disabled」
考察
約6年前の中古だが期待以上の結果だった。SASとSATAでの特徴が判ったのでそれぞれ用途を考えて使用したい。これで少しは画面展開が早くなるだろう。
次の工程として各種ソフトのインストール作業が待っている。
今回の速度測定結果
平均速度 Write:51MB/s Read:117MB/s → Write:375MB/s Read:3.67GB/s